ADC IP周辺回路(PGA・BGR・RCOSC)開発

ADC IPの性能を最大限に引き出す周辺IP開発 | PGA、BGR、RCOSC
三栄ハイテックスでは、ADC(Analog-to-Digital Converter)IPに対応する周辺回路の開発を進めています。これにより、より高い精度とパフォーマンスを求めるお客さまに最適なソリューションを提供します。ADC IPを動かすためには、クロックや基準電圧、入力容量を駆動するためのバッファなど、周辺回路が不可欠です。以下では、これら周辺回路の概要とその特長をご紹介します。

ADC IP周辺回路の重要性

ADC IPには、必要な信号を供給する周辺回路が不可欠です。当社では、高性能なADC IPの性能を最大限に引き出すため、PGA、BGR、RCOSCなどの周辺回路IP(以下、周辺IP)を併せて開発しています。これにより、さまざまなセンサーに接続して、高精度かつ高効率な信号処理が可能となります。

当社が提供する主要な周辺IPには、以下の3つがあります。
  • PGA(Programable Gain Amplifier)
  • BGR(BandGap Reference)
  • RCOSC(Resister-Capacitor OSCillator)

ADC IP向け周辺IPの性能と特長

当社の周辺IPは、実際に試作・評価を経て性能を確認しています。詳細な特長は各要素ごとの項目をご覧ください。
要素名 内容・性能(設計値) 特長
PGA 許装アンプ+ADC入力バッファ
x1倍~x128倍
  • SARADC向け
  • Autozero+Chopping
BGR 高精度Bandgap
1.0V 0.2% 3.3V
  • 高精度・低ノイズ
  • 常温1点トリミング
RCOSC 高精度RCOSC
5-80MHz 1.5% 1.8V
  • 高精度・低消費電流
  • 常温1点トリミング

その他の自社開発ADC IPリスト

当社は、長年の研究開発と豊富な経験を生かし、独自性の高いADC技術を開発し、お客さまに提供しています。その他の自社開発ADC IPの詳細な特性は以下のリンクよりご覧ください。

PGAの特長

通常、PGAは入力と出力につながる回路にあわせて専用のカスタマイズが必要です。当社では、お客さまのニーズに合わせて、お客さま所有のIPや当社IPや技術を活用した専用回路の設計が可能です。
ここでは、自社開発のSARADC(逐次比較型ADC)、OS-SARADC IP向けに設計されたPGA IPを紹介します。自社開発のSARADC、OS-SARADC 向けPGA IPは、ADCの入力バッファとして機能し、以下の特長を備えています。

高速駆動能力

最大10MHzのスピードでADCの入力容量を駆動し、高速信号処理を可能にします。
 

高インピーダンス入力

インピーダンスが高く、SARADCに直接接続できないセンサーもPGAを介して接続が可能です。
 

回路構成

計装アンプ(Instrument Amplifier)と全差動バッファ回路で構成され、広い入力コモン電圧範囲と安定した増幅率を実現します。
 

可変増幅率

増幅率を1倍~128倍まで変更することができ、小さなセンサー信号を確実に増幅し、ADCに渡すことが可能です。
 

オートゼロ・チョッピング機能

オートゼロとチョッピング機能を備えており、PGAで発生するオフセットや1/fノイズを最小限に抑えた信号処理を実現します。
 

最適化された電力・ノイズ性能

このPGAの電力とノイズ量はSARADCの性能に合わせて最適化されており、非常に効率的です。

PGAのブロック図

PGAのブロック図

BGRの特長と評価結果

BGR は、温度や電源電圧による変動が少ないリファレンス電圧を出力するための回路です。 当社のBGR IPは、特に温度による変動が小さいため、温度変化に敏感なセンサーの基準電圧として最適です。

以下に、その主な特長を紹介します。

温度依存性の低減

1次に加え、2次の温度特性を最小限に抑える機能も備えており、幅広い温度環境でも安定した電圧出力が可能です。
 

チョッピング機能

チョッピング機能をON/OFFすることができます。チョッピング機能を使用すると、出力電圧の個体バラツキが抑えられ、1/fノイズを低減することができます。チョッピングが不要であれば、止める事もできます。
 

出力電圧の1点トリミング

一般的にトリミングは温度2点の電圧を測定してトリミングコードを決定します。 このBGRは、25℃の1点での電圧測定だけでトリミングコードを決定できるように回路が設計されており、出荷時の調整が容易です。

BGRの評価結果

当社で試作したICを用いて、BGRの性能評価を実施しています。代表的な評価結果は以下の通りです。条件を変えた際の評価結果についても、お気軽にお問い合わせください。

3.3V 10サンプル 25℃出力電圧で1点トリミング

3.3V 10サンプル 25℃出力電圧で1点トリミング

出力ノイズ密度

出力ノイズ密度

RCOSCの特長と評価結果

RCOSC(抵抗-コンデンサー発振器)は、抵抗素子と容量素子を用いてクロックを生成する発振回路です。当社のRCOSC IPは、電源電圧や温度による変動が非常に小さいため、クロック周波数の変化に敏感なセンサーの基準クロックとして最適です。
以下に、主な特長を紹介します。

電源電圧・温度依存の低減

電源電圧や温度で変化する要因を極力排除するよう回路に工夫を入れています。 そのため、電源電圧や温度の変動を受けにくい、安定したクロックを出力することが可能です。
 

出力周波数の長期安定性

回路内部で使っている、コンパレータやオペアンプのオフセットや経年劣化の影響を最小限に抑える設計により、長期間にわたって安定したクロック周波数を維持します。
 

工夫されたトリミング機能

設定周波数のどこか1点でトリミングを行うだけで、他の設定値も切り替え、調整されます。 例えば、40MHzの設定で40MHzにトリミングを行ってしまえば、80MHzに設定を切り替えても、周波数のズレはほぼ発生しません。 そのため、周波数のトリミングは非常に簡単になります。
 

低周波数設定での消費電流低減

発振周波数を低く設定することで、消費電流も同時に抑えることが可能です。
 

スペクトラム拡散機能

スペクトラム拡散機能を有効にすることで、出力信号周波数成分のピークを低減し、電磁干渉(EMI)対策にも貢献します。

RCOSCの評価結果

当社で試作したICを用いて、RCOSCの性能評価を行っています。以下は、代表的な評価結果です。

評価結果: 40MHzでトリミング後、80MHzに設定変更しても精度を維持できることを確認しました。

また、条件を変更した際の評価データもございます。詳細な評価結果や特定の条件下でのパフォーマンスについて興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

40MHz出力 @40MHzトリミング

1.8Vでの温度変動特性(10サンプル)
1.8Vでの温度変動特性(10サンプル)
25℃での電源電圧変動特性
25℃での電源電圧変動特性

80MHz出力 @40MHzトリミング

1.8Vでの温度変動特性(10サンプル)
1.8Vでの温度変動特性(10サンプル)
25℃での電源電圧変動特性
25℃での電源電圧変動特性

自社開発ADC IPの提供とプロセスポーティング

当社のパイプラインADCおよびサイクリックADC IPは、各種用途に応じて提供可能です。 また、お客さまのニーズに応じたプロセスや仕様に基づくカスタム設計サービスも承っております。 ADC IPソリューションをお探しの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、記載のない回路IPについてもIPの提供ができる可能性があります。必要な回路IPがございましたら、お気軽にお問い合わせください。