ディープラーニング(人工知能の設計)

ビジネス活用を見据えたディープラーニング・サービス
最近の市場のニーズに対応するため、「人工知能の設計サービス」を開発しています。人工知能の技術の中で、やや複雑な画像認識を実現するためには「ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)」が欠かせない存在になりつつあり、三栄ハイテックスでもディープラーニングに注力しています。ディープラーニングをビジネスに活用しようとした場合、いくつかの現実的なハードルが立ちはだかります。例えば、「適切なニューラルネットワークの設計」「適切な機械学習フローの設計」「機械学習用のマシン環境の構築」「正解情報の大量の付加作業」です。当社では、それらの要素を全てカバーして、一貫したディープラーニング・サービスを提供します。

「正解情報の大量の付加作業」への対応

ニューラルネットワークと機械学習フローの設計事例

はじめに挙げた4つの現実的なハードルの中で特に困難なのは、「正解情報の大量の付加作業(アノテーション作業)」です。
ディープラーニングは、機械学習の中で「教師あり学習(Supervised Learning)」というカテゴリに分類され、学習のための教師データを必要とします。
例えば、ディープラーニングを使って、工場内で撮影した画像の中からダンボールの位置を特定する画像認識プログラムを作成したいとします。その場合、ダンボールが写った大量の画像を用意し、その画像に対してダンボールの位置に印を付けるという作業を人手で行います。この時、画像に付加された印が「正解情報(Ground Truth)」です。そして、画像と正解情報をセットにしたものが「教師データ」となります。
一般的に、実用に耐えうる精度を確保するためには、正解情報が付加された画像データが最低でも10万個必要といわれています。用途によっては、さらに数桁上の個数のデータが必要となります。尋常な数ではありませんが、これを手作業で作成しなければなりません。この人的リソースを確保することが、ディープラーニングの実現のための大きなハードルとなります。そこで当社では、このようなニーズに応えるため、「三栄ベトナム」(SANEI HYTECHS VIETNAM co., ltd.)にアノテーションセンターを設立しました。複数の大手企業様からの、大量のご依頼に対応した実績を持っています。

開発実績

ニューラルネットワークと機械学習フローの設計事例

一般道路の中央線を検出するニューラルネットワークをディープラーニングにて作成した事例です。
下図は、設計したニューラルネットワークの構成図です。
中央線検出用のニュートラルネットワークの構成
一般的に画像認識に有利とされているCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)の形をとり、3層のConvolution層と2層の全結合層で構成しています。通常のCNNでは、プーリング層というレイヤーを途中に挟みますが、ここでは位置情報をできるだけ保持させることを優先してプーリング層は入れない、という設計方針を取りました。
以下の画像は、実際の道路画像をニューラルネットワークに通し、道路の中央線を検出した結果です。

道路の中央線の検出結果(赤線で表示)

この事例では、Preferred Networks社(PFN社)からオープンソースとして公開されているChainer(チェイナー)というディープラーニング用のプラットフォームを使って、機械学習を行っています。

柔軟かつ迅速な機械学習用マシンの環境構築

機械学習の大規模演算には、AmazonのクラウドサービスであるAWS上のGPUマシンを利用しています。AWS上のマシンとの通信は、セキュリティーレベルが高いVPN接続を通して行っているため、自社内にマシンを置いている場合と同じような環境で設計を進めることができます。当社ではITサービス事業も行っており、こういった環境構築も得意としています。
設計の内容によっては、クラウドサービスを利用するのではなく、物理的なマシンを購入して自社内に設置します。当社では主にLSI/半導体設計のために数十台のワークステーションを常時稼働させているという実績を持っており、自前で購入したハードウェアを使った環境構築も可能です。
機械学習用のマシン環境を柔軟かつ迅速に構築できることが、当社の強みです。