メタバース

「メタバース」と技術
最近何かと話題に上るメタバースですが、メタバースという一つの技術が存在している訳ではありません。メタバースは、通信や描画、物理計算、デザイン等さまざまな要素が集まって構成される技術の集合体です。当社は、ハードウエアからソフトウエアまで幅広い技術を有している立場から、メタバースに関する社会のニーズに貢献できると考え、研究開発を進めています。

メタバースとは

メタバースとは非常に曖昧な言葉であり、さまざまな定義がなされています。当社では、自身の分身であるアバターを用いてネットワーク越しにコミュニケーションを行う場である仮想空間(CG空間)そのもの、または仮想空間上での活動を指す言葉であると考えています。メタバースにはさまざまなメリットがあります。
代表的なものとして、以下の点などが挙げられます。
  • 現実世界では表現できない演出を行うことができること
  • 住んでいる場所に捕らわれることなく交流ができること
このメタバースで活動をするにあたり必ず必要となるのが、活動の場である仮想空間と、活動を行うための体となるアバターです。当社では仮想空間の構築プロジェクトと、アバターの制作プロジェクトをそれぞれ立ち上げて開発を進めています。

仮想空間構築プロジェクト

メタバース向けの仮想空間の構築にはさまざまな要素が必要です。コミュニケーションを行うためには通信による情報の同期を行わなくてはなりません。この同期のためのサーバーの立ち上げ、交流の場である仮想空間そのもののデザインやコンテンツのロジック・アルゴリズム作成等、他にも大小さまざまな要素が必要となります。また、これらの必要な要素を満たす方法にもさまざまなアプローチがあります。当社では、既存プラットフォーム上で仮想空間のデザインのみを行うアプローチや、サーバーの立ち上げから空間のデザイン、コンテンツのロジックまで独自のものを使用する、いわばオリジナルプラットフォームの開発を行うアプローチまで、さまざまな方法に取り組んでいます。本稿ではその一部を紹介します。

事例1:既存プラットフォームを利用したメタバース空間構築

株式会社NTTコノキューが提供する仮想空間プラットフォーム「DOOR」上に、当社の本社ビルと、当社に入社した新入社員たちが研修を受講するセミナールームを模した仮想空間をそれぞれ構築しました。本社ビルはほぼ 1/1スケールで作成しており、メタバース空間上で実際の大きさを体感することができるようになっています。セミナールームに関しては、この空間の中でさまざまな大きさのアバターが動き回りやすいように実際よりも少し大きめに作成し、活動を妨げないようにしています。
本社ビル
本社ビル
セミナールーム
セミナールーム
この空間は現在新卒採用向けのイベントで利用しており、当社の事業内容紹介や社員との交流の場として利用しています。

事例2:デジタルツインを実現する独自プラットフォームの開発

当社では現在、独自のメタバースプラットフォームの開発にも取り組んでいます。バックエンドには他社の提供する通信エンジンとクラウドサーバーを活用しています。フロントエンドは自社内で一からの開発を行い、さまざまな独自の機能を実装中です。独自機能の一例として、現実空間を仮想空間に再現する「デジタルツイン」機能を紹介します。このデジタルツイン機能では、メタバース空間と現実世界のエッジデバイスを接続し、メタバース空間からエッジデバイスの操作命令やセンサー値の取得を行うことができます。取得したセンサー値等を元にエッジデバイスが組み込まれたシステム全体(ロボット等)の状況をメタバース空間に再現することでデジタルツインを実現させます。これにより、異なる場所で作業を行っている開発者や利用者同士で、可視化されたエッジデバイスのシミュレーションや実機動作を確認しながらコミュニケーションが可能となります。今後は、当社の事業である「IoT」や「AI」と組み合わせることにより、メタバースのさらなる可能性を模索していきます。
デジタルツインの例(実機)
デジタルツインの例(実機)
デジタルツインの例(CG)
デジタルツインの例(CG)
システム構成
システム構成

アバター制作プロジェクト

メタバースにおいて非常に重要なのが3Dアバターです。3Dアバターが自身の分身となって仮想空間を動き回ることから、メタバース体験のコアとなる存在です。当社ではこのアバターの制作プロジェクト立ち上げ、デザインから動作検証まで含めた一連のフローを構築しました。さて、このようなアバター制作のフローにおいて、まず重要なポイントとなるのが 3Dモデルの見た目となります。簡単なものであれば社内で対応し、複雑なものやオリジナリティーが非常に強いものは社外の専門のデザイナーと連携する体制を構築しており、さまざまなデザインの当社オリジナル3Dアバターを制作しています。この実績のあるフローを活用し、受注制作を請け負う準備も整えています。こだわりは強くないがとにかく人型のアバターが大量に欲しい場合や、こだわりが強い一点物のアバターが欲しい場合など、さまざまなニーズに応えることができます。ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
また、アバター制作においてもう一つ重要となるのが、歩行や走行、その他動きのあるモーション時におかしな挙動をしないのかということです。当社では人工知能のアノテーション事業で培った、正確で素早く、かつ安価で大量のチェック作業が可能なチームを海外拠点に保有しています。このチームをアバター制作プロジェクトにも動員し、モーション時に問題が無いかを効率的かつ高品質なチェックができる体制作りを進めています。また、メタバース環境を模擬した独自のアプリや専用の検証ツールを社内で開発し使用しているため、検証項目を追加・変更するなど柔軟な設定が可能です。以上のような取り組みにより短期間で高品質なアバターを大量に提供できる体制を構築中です。
制作したアバターの一部と、アバターテスト用に専用で開発したアプリをアジア最大規模のICT見本市「台北国際コンピューター見本市(COMPUTEX)」にて展示いたしました。
展示アプリ操作画面1
展示アプリ操作画面1
展示アプリ操作画面2
展示アプリ操作画面2
また、当社で制作したアバターは、2024年4月より「BOOTH」にて一般販売を開始しました。
三栄ハイテックス公式BOOTH:https://sanei-hy.booth.pm/
当社ではここまで紹介させていただいたようにメタバースに関してさまざまな取り組みを行っています。この中に気になった技術や、ここでご紹介したこと以外でもメタバースについて 気になることがありましたらぜひ一度お問い合わせください。