設計効率の追求(高度な自動化)

アナログ回路設計にクローズアップして設計効率を追求し、人間の判断を模擬した、より高度な自動化に挑戦。
三栄ハイテックスは、特にアナログ回路設計にクローズアップし、設計効率を追求しています。PVT(プロセス・電源電圧・温度)の条件振りシミュレーションや、従来は目視チェックをしていた回路図エラーの有無の確認などの一般的なルーティンワークの自動化に加え、より高度な自動化にも挑戦しています。部分的ではありますが、比較的高度な数理処理によって人間の思考を模擬した判断機能を加えていることから、当社ではこの高度な自動化のことを「簡易人工知能」と呼んでいます(Google社やIBM社が開発しているような本格的な人工知能ではなく、あくまで「簡易」です)。

簡易人工知能の事例

例えば、回路図のトポロジー(形)をグラフ理論に基づいた探索アルゴリズムで自動分析し、回路図中のトランジスタ(MOSFET)を「デジタル素子」と「アナログ素子」に分類するプログラムや、回路の種類(オペアンプなど)を判断するプログラムを開発しています。人間と同じように「パターン」を認識することで、単純な文字列・数字の比較では実現が難しい「高度な判断」ができるようになります。得られた情報は、別途開発を進めている自動検証や自動設計のプログラムにて活用します。自動化技術によって、人間の技術者は、より難しく、より面白い設計に集中できるようになります。
素子の性質のデータベース
MOSの性質の可視化(Webブラウザ)

より高度な自動化を実現

また、こうしたプログラムでは、主にグラフデータに対する「探索アルゴリズム」の処理で膨大な時間がかかってしまうことがあります。そういった処理のうち独立性の高い演算要素に対しては、OpenMPなどの並列コンピューティング用のAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を活用して並列化し、処理時間を大幅に短縮します。その他、一般的に難しいといわれているアナログレイアウト設計の自動化にも挑戦しており、その中の図形演算の処理でもOpenMPによる並列化を実現しています。このような並列化に関するソフトウエア技術や、並列処理を行うためのワークステーション(サーバー)に関するIT技術を自社で開発し、設計の自動化を加速させています。