アナログ性能の追求(ボトム・トップ双方から)

分析プラットフォームを自社開発。幅広い視点で性能を追求しています。
アナログ回路の性能を追求するためには、ボトムアップとトップダウン双方の視点が必要です。三栄ハイテックスでは全エンジニアが幅広い視野で最良の技術を発揮できるよう、設計環境の構築を進めています。

ボトムアップの視点

新しい回路技術、設計手法を取り入れるために、MATLAB/Simulinkを用いた技術開発を進めています。この開発経験で得た技術や手法を用いて、ΔΣADCやデジタル電源を設計しました。

デバイスの性質を把握する分析プラットフォーム開発

ボトムアップの視点では、例えばCMOSのトランジスタ素子や抵抗素子などのデバイスの性質を把握するための分析プラットフォームを開発しています。
 
回路の構成(回路図の形)が決まっていても、CMOS 0.25um、0.18um、90nm、40nmといった使用する半導体プロセス(とファブ)の種類によって半導体素子の性質が大きく変わり、それに伴って設計方針を大きく変更しないといけないことがよくあります。いちいち回路全体でシミュレーションを実行して回路の特性を確認していては時間がかかりますし、回路図の中のどの素子が原因で所定の仕様を満たせないのか簡単に特定することができません。
 
そこで当社では、具体的な回路設計に入る前に、トランジスタ素子・抵抗素子・容量素子を単体でさまざまな条件下でシミュレーションして各素子の性質のデータベースを作り、それに基づいて定量的な設計方針を立てています。素子の性質に沿った設計をすることで、それぞれの素子が回路図全体に及ぼす影響が予測可能となり、アナログ回路の性能を追求しやすくなります。

自社開発の分析プラットフォーム活用

自社開発の分析プラットフォームを使うことで、素子の性質のデータベースを効率的に作ることができ、かつ、性質を視覚的に確認することができます。
素子の性質のデータベース
MOSの性質の可視化(Webブラウザ)

トップダウンの視点

システム設計用ツールの環境構築(MATLAB/Simulinkなど)

トップダウンの視点では、例えばMATLAB/Simulinkなどのシステム設計用ツールの環境構築を行っています。
 
具体的な回路図を作る前にシステムレベルでシミュレーションを実施して性能のトレードオフ関係を整理することで、ぎりぎりのアナログ性能を追求できるようになります。
トレードオフ関係を明らかにした結果、従来の回路では、お客さまから求められる性能の実現が難しいことが判明することもあります。しかし、いち早く設計の難易度の高さに気づくことで、設計のパワーをその問題解決に集中することができ、限られた設計期間内で新しい回路方式を生み出すことも可能になります。
システムレベルの設計(Simulink)
トレードオフ関係の確認