ハイブリッドシステムの種類や特徴
2022年10月25日
- 車載ソフトウエア開発
“ハイブリッド”とは、二つ以上の方式を組み合わせたものを意味します。いわゆる“ハイブリッドカー”とは、一般的に内燃機関(エンジン)と電動機(モーター)を動力源として備えた自動車のことを言います。ハイブリッドカーの歴史は、1997年発売のトヨタ自動車「プリウス」から始まったと思っている方が多いのではないでしょうか。しかし、実はハイブリッドカー自体の歴史は古く、1900年初頭までさかのぼります。
今回は、ハイブリッドカーの歴史と共にハイブリッドシステムの種類、特徴などについて解説します。
今回は、ハイブリッドカーの歴史と共にハイブリッドシステムの種類、特徴などについて解説します。
ハイブリッドカーの歴史
自動車の歴史は、1769年の蒸気自動車の誕生に端を発します。以降、1830年代に電気自動車が先行して誕生しました。その後、1886年のガソリン自動車の誕生と続きます。
1900年頃までの自動車は、いずれの技術も未熟で、それぞれ一長一短がありました。そのような中で、1901年、ポルシェの創設者であるフェルディナント・ポルシェ博士が新しい電気自動車を開発します。
従来の電気自動車の欠点は、「航続距離の短さ」と「バッテリーの重量(なんとバッテリーだけで約1.8t)」でした。この欠点を補うため、バッテリーを半分に減らし、空いたスペースにエンジンと発電機を搭載したのです。これが現代のシリーズハイブリッドの原型であり、世界初のハイブリッドカーと言われています。
その後、1905年に初めての大量生産車として誕生したT型フォードなどにけん引され、1920年代になると、エンジン自動車の技術は目覚ましい発展を遂げて潮流となり、ハイブリッドカーは衰退していきます。
1973年のオイルショックで、ハイブリッドカーの研究開発が再燃するのですが、石油の安定供給とともに再び縮小してしまいます。
次に潮目が変わったのは1990年代です。この頃になると、21世紀に向けた経済的でクリーンなクルマづくりが求められ、1997年、トヨタが世界初の量産ハイブリッド乗用車としてプリウスを発売しました。これが、現在のハイブリッドカー時代の幕開けです。
1900年頃までの自動車は、いずれの技術も未熟で、それぞれ一長一短がありました。そのような中で、1901年、ポルシェの創設者であるフェルディナント・ポルシェ博士が新しい電気自動車を開発します。
従来の電気自動車の欠点は、「航続距離の短さ」と「バッテリーの重量(なんとバッテリーだけで約1.8t)」でした。この欠点を補うため、バッテリーを半分に減らし、空いたスペースにエンジンと発電機を搭載したのです。これが現代のシリーズハイブリッドの原型であり、世界初のハイブリッドカーと言われています。
その後、1905年に初めての大量生産車として誕生したT型フォードなどにけん引され、1920年代になると、エンジン自動車の技術は目覚ましい発展を遂げて潮流となり、ハイブリッドカーは衰退していきます。
1973年のオイルショックで、ハイブリッドカーの研究開発が再燃するのですが、石油の安定供給とともに再び縮小してしまいます。
次に潮目が変わったのは1990年代です。この頃になると、21世紀に向けた経済的でクリーンなクルマづくりが求められ、1997年、トヨタが世界初の量産ハイブリッド乗用車としてプリウスを発売しました。これが、現在のハイブリッドカー時代の幕開けです。
ハイブリッドカーの特徴
ハイブリッドカーは、モーターがアシストすることで効率的な走りができることが特徴です。
燃費が良い(環境に優しい)
ハイブリッドカーのメリットとして挙げられるのは、燃費性能です。
- モーター走行中はガソリンが不要なため、その分燃費が良くなります。
- 減速時に回生ブレーキ(※)でエネルギーを回収することで、燃費を向上させることができます。
- エンジンとモーターそれぞれ効率の良い回転数で利用することで、さらに燃費を向上させることができます。
・モーター:低速域で効率が良い
・エンジン:高速域で効率が良い
※ 回生ブレーキ:減速時にタイヤの回転力でモーターを回すことで、このトルクを制動力として利用するとともに、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収するしくみ
ハイブリッドシステムの種類と特徴
発電と駆動方式により、「マイルドハイブリッド」「シリーズハイブリッド」「ストロングハイブリッド」の3つに大別できます。
マイルドハイブリッド
マイルドハイブリッド(別名:パラレル方式)とは、エンジン、変速機、発電機等の構成は通常のエンジン車と同じで、発電機を走行時の補助モーターとして使用することで燃費を向上させる方式です。(ex. スズキ マイルドハイブリッド など)
マイルドハイブリッドのメリット
- 他方式よりもモーター、バッテリーは小型であり、低コストかつ省スペース化が可能。
マイルドハイブリッドのデメリット
- モーター(発電機)が1基のため、発電と駆動を同時にできないなど、他方式に比べ燃費性能は劣る。
シリーズハイブリッド
シリーズハイブリッドとは、エンジンは発電のみで使われ、その電力でモーターを駆動して走行する方式です。(ex. 日産 e-POWER など)
シリーズハイブリッドのメリット
- 電力が不足したときだけ、エンジンの高効率な領域で発電を行うため低燃費。
- 駆動方式は電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)そのものであり、低速のトルク感や加速感等は電気自動車のメリットを生かし、かつ航続距離が短いデメリットを補うことができる。
シリーズハイブリッドのデメリット
- 高速域で燃費が低下。
ストロングハイブリッド
ストロングハイブリッド(別名:スプリット方式)とは、走行状態により、エンジンとモーター、それぞれの効率の良い領域を使い分けることで、燃費向上を実現させる方式です。
発進時、低速時はモーターのみで走行し、高負荷時、高速走行時にはエンジンも併用、またはエンジンだけでも走行できます。(ex. トヨタ THSⅡ など)
発進時、低速時はモーターのみで走行し、高負荷時、高速走行時にはエンジンも併用、またはエンジンだけでも走行できます。(ex. トヨタ THSⅡ など)
ストロングハイブリッドのメリット
- 他方式と比較して、最も燃費性能に優れる。
ストロングハイブリッドのデメリット
- 柔軟な制御が燃費を向上させる代わりに、制御が複雑でコスト高。
ハイブリッドシステムで必要とされる制御技術は、燃費、乗り心地などの向上を目的に年々複雑さを増しています。そのため、従来の開発方式では対応が難しく、近年ではモデルベース開発(MBD)の導入が必須となってきています。
当社ではこれらのニーズに応えるため、MBDに関する独自のカリキュラムを用意して技術者を育成しています。
また、ハイブリッドシステム以外でも、さまざまな車載ソフトウエアシステムの高い安全性へのニーズに対応するため、機能安全規格ISO26262への取り組みにも注力しています。
当社ではこれらのニーズに応えるため、MBDに関する独自のカリキュラムを用意して技術者を育成しています。
また、ハイブリッドシステム以外でも、さまざまな車載ソフトウエアシステムの高い安全性へのニーズに対応するため、機能安全規格ISO26262への取り組みにも注力しています。