LSI回路設計エンジニアによるLSI工場見学レポート(豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS))

2023年04月06日

  • LSI設計
豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)のLSI工場を見学しました。
半導体の製造工場を見学することは、LSI回路設計者にとって非常に有益です。

EIIRISのLSI工場とは

EIIRISは、次世代のエレクトロニクス技術を推進するために、大学と産業界の連携を強化し、技術革新を促進することを目指しています。LSI工場は、研究所内に設置されている施設の一部で、半導体デバイスや集積回路(LSI)の研究・開発・製造を行っています。
このLSI工場では、先端の製造技術や設備を用いて、微細加工技術や新素材の開発、エレクトロニクス技術の研究開発などを進めています。また、産業界との共同研究や技術移転を通じて、技術の実用化を促進し、産業界と学術界の連携を深めることを目指しています。
EIIRISのLSI工場は、日本の半導体研究における中心的な施設の一つであり、高度な研究開発が行われています。工場は、半導体関連産業の発展に貢献しており、東海地区の産学連携の拠点としても注目されています。

EIIRIS LSI工場見学

所長の澤田和明教授にご案内いただきました

澤田教授の専門分野は、エレクトロニクス材料、半導体デバイス、ナノテクノロジー、集積回路(LSI)技術などです。澤田教授は、産業界との連携を進めることで、研究成果を実用化し、社会に貢献することを目指されています。EIIRISでは、産学連携に取り組むための専門チームを設置し、産業界との共同研究や共同開発を積極的に行っています。

EIIRIS LSI工場の歴史

はじめにEIIRIS LSI工場の歴史を教えていただきます。
豊橋技術科学大学とNEC株式会社との共同研究施設として、LSI工場が設置されました。この工場は、シリコンウエハーの製造から、半導体チップの製造までを一貫して行うことができる設備を備えていました。
1990年代では、車載用のMEMS加速度センサーや、気圧センサーなどの開発が行われました。
2000年代には、MEMSセンサーの研究開発が本格化しました。光学MEMSセンサーの研究や、バイオMEMSセンサーの研究などが行われました。
2023年の現在は、スマートヘルスケアシステムや、自動運転車のセンシング技術など、多くの応用分野でMEMSセンサーが利用されています。
EIIRISのLSI工場は、最新の半導体技術を研究し、産学連携を通じて産業界に貢献することを目的として、研究開発を進めています。

LSI工場のクリーンルーム見学

LSI工場のクリーンルームを見学します。
クリーン服に着替えてクリーンルームに向かいます。
クリーンルーム内では、作業員は特別な衣服、フード、マスク、手袋、靴カバーを着用し、人体からの微粒子の放出を最小限に抑えます。また、機器や材料も、特別なクリーンルーム用のものを使用し、作業前に洗浄、消毒されます。
クリーンルーム内の空気は、特殊な空気清浄装置によって、微細な粒子や微生物などの除去が行われ、極めて高い清浄度が保たれます。

LSI工場クリーンルーム内の設備見学

LSI工場のクリーンルームの中にある設備を見学して回ります。LSI工場は、半導体デバイスの製造に必要な高度な設備を備えています。
リソグラフィ装置、イオン注入装置、エピタキシャル成長装置、乾式エッチング装置、金属蒸着装置、超高真空装置、分析・計測装置などを見学して回ります。
LSI工場では、大学生や研究者が直接装置を操作してICの製造に取り組むことができます。研究者は自らのアイデアを具現化するために必要な装置を自由に利用することができます。
EIIRISのLSI工場にて半導体の製造工程を学ぶことができました。LSI回路設計者が半導体工場を見学することで、製造工程についての理解を深めることができ、適切な回路設計を行うことができます。また、半導体工場の最新製造技術の動向を知ることにより、最新技術を取り入れた回路設計を行うことができます。
半導体工場を見学することは、LSI回路設計者にとって非常に有益です。
 
案内してくださった澤田和明教授に感謝を申し上げます。