ドローンの飛行シミュレーションを体験できる!「ロボットシナリオシミュレータ」体験版を紹介します

2024年10月15日

  • 研究開発
三栄ハイテックスの研究開発部門では、メタバース関連技術の開発を進めており、デジタルツインを実現する独自のメタバースプラットフォームの開発に取り組んでいます。
メタバース関連技術を活用し、メタバース空間でロボットやドローンなどの制御シミュレーションができる「ロボットシナリオシミュレータ」の開発を進めています。2024年8月に、「ロボットシナリオシミュレータ」の体験版をリリースしました。体験版では、開発中の一部機能を体験いただけます。
本ブログでは、「ロボットシナリオシミュレータ」の概要と、今回リリースした体験版の機能をご紹介します。

「ロボットシナリオシミュレータ」とは

「ロボットシナリオシミュレータ」は、仮想空間上でロボットの動作シナリオをシミュレーションできるサービスです。例えば、「こんな動き(動作のシナリオ)ができるロボットが欲しい」と考えたときに、仮想空間でその動作をシミュレーションし、結果を関係者とリアルタイムで共有することができます。これにより、開発メンバー全員が同じシミュレーション結果を確認しながら、意見交換や改良を迅速に進めることが可能です。

「ロボットシナリオシミュレータ」は、ロボットの動作だけでなく、AIアルゴリズムの実装や検証にも対応しており、実際の運用環境を仮想空間上に再現できます。これにより、開発段階でロボットの行動を事前に確認できるため、現場での不具合やトラブルを未然に防ぐことが可能です。シミュレーションによって得られたフィードバックをもとに、ロボットの設計やプログラムの修正を行うことで、効率的かつ高精度な開発プロセスを実現します。

シミュレーション環境には、ゲームエンジン「Unity」を採用し、摩擦や衝突などの物理現象をリアルタイムで再現しています。

さらに、ロボットの認識や判断を行うアルゴリズム部分には、NASAなどのロボット開発にも使われている「ROS2(Robot Operating System)」を使用しており、シミュレーションで試したアルゴリズムを実際のロボットにスムーズに移植できる環境を整えています。ROS2とは、ロボットシステム開発向けのプラットフォームです。NASAやFAなど多くの分野でのロボット開発に使用されています。

今回リリースした体験版では、ドローンの飛行シミュレーションを体験できます。ドローンの飛行パターンや動作を事前に確認し、空中での動作に関する理解を深めることができます。次の項目では、「ロボットシナリオシミュレータ」の使い方や、ドローンの飛行シミュレーションの詳細をご紹介します。

「ロボットシナリオシミュレータ」体験版の使い方

「ロボットシナリオシミュレータ」体験版は、以下のリンクからPCのウェブブラウザを通じてどなたでもアクセス可能です。ヘッドマウントディスプレイなどのVR機器は必要なく、簡単にご利用いただけます。
まずは体験版を通じて、シミュレーションの世界をお楽しみください。

■ 「ロボットシナリオシミュレータ」 体験版URL

新規登録・ログイン

初めて「ロボットシナリオシミュレータ」体験版を利用される方は、新規登録とログインが必要です。
画面の案内に従ってアカウント登録を完了させると、「ロボットシナリオシミュレータ」体験版を開始できます。

体験版ではユーザーごとに月10時間までの利用制限を設けています。その他の利用方法や詳細については、トップページにある「About」からご確認ください。

ルーム作成

「ロボットシナリオシミュレータ」体験版を起動すると、ルーム作成画面が表示されます。
[ルームを作成]ボタンをクリックして、詳細なルーム設定に進んでください。

なお、複数人でルームを共有する「既存のルームに入室」機能は、今後のアップデートで追加予定です。
ルーム作成
ルーム作成

ワールド選択

ルームを作成する際に、ドローンを飛行させるワールド(仮想空間)を選択します。
ワールド選択
ワールド選択
現在の体験版では、以下の3つのワールドをご用意しています。
 
  • Simple(なだらかな丘陵):基本的な飛行環境を備えたシンプルなワールド
  • City(市街地):都市の風景を再現したワールド
  • Grid(グリッドな空間):チェックパターンで構成された視認性の高いワールド

これらのワールドは、既存のアセットをベースに当社でカスタマイズして構築しています。

現在選択可能なモードは「ドローン」のみですが、「収穫ロボット」などの新しいモードも今後のアップデートで追加予定です。
ワールドの様子
ワールドの様子

アバターの選択

アバター選択画面
アバター選択画面
「ロボットシナリオシミュレータ」体験版では、ユーザーの操作キャラクターとして4種類のアバターを用意しています。
これらはすべて当社で製作したオリジナルのアバターです。
 
  • 男性と女性のアバター(左側2体):VRoid Studio製
  • キツネとチンチラをモチーフにしたアバター(右側2体):オリジナルアバター

キツネとチンチラのアバターは、当社のBOOTHショップでも販売しています。
以下のURLよりご購入いただけます。ぜひ、ショップにもお立ち寄りください。

ドローンの飛行シミュレーション

ここでは、「ロボットシナリオシミュレータ」体験版でのドローン飛行シミュレーションの操作方法をご紹介します。

ルーム内では、「アバター操作」と「経路設計」の2つのモードを切り替えて、アバターの移動やドローンの飛行経路を設定できます。経路設計を行い、シミュレーションを実行することで、ドローンの飛行動作を仮想空間上でリアルに再現できます。

アバター操作モード

ルームに入室すると、まずは「アバター操作モード」になっています。このモードでは、キーボード操作でアバターを自由に移動させることができます。視点を変更して、ドローンの飛行経路を確認したり、設計の際の視覚的なチェックを行ったりできます。また、画面左上にある「ドローンカメラ」をクリックすると、ドローンに搭載されたカメラからの映像を確認できます。これにより、ドローンの視点から周囲の状況を把握し、シミュレーションの精度を高めることができます。

経路設計モード

画面下部の「経路設計」ボタンをクリックすると、「経路設計モード」に切り替わります。
このモードでは、キーボードを使って視点を動かしながら、ドローンの飛行経路をチェックポイント(経路地点)として設定します。チェックポイントの設定は、マウスクリックで簡単に行うことができ、各ポイントでドローンの向きや滞空時間などの詳細な動作を指定できます。これにより、複雑な飛行経路や特定の動作を精密にシミュレーションすることが可能です。
チェックポイント編集
チェックポイント編集

飛行シミュレーションの実行

経路設計が完了したら、画面上の[再生]ボタンをクリックして飛行シミュレーションを開始します。シミュレーション中は、ドローンが設定した経路に沿って飛行し、軌跡が描画されるので、どのように飛行しているかを視覚的に確認できます。また、アバター操作モードで使用できる「ドローンカメラ」を使えば、ドローンからの視点で飛行状況をモニタリングできます。

これにより、実際の飛行と同様の感覚でシミュレーションを体験し、シナリオの改善や調整を行うことができます。
飛行シミュレーションの様子
飛行シミュレーションの様子
ドローンとカメラ
ドローンとカメラ
ドローンカメラからの様子
ドローンカメラからの様子
今回は、現在開発中の「ロボットシナリオシミュレータ」と、8月にリリースされた体験版についてご紹介しました。「ロボットシナリオシミュレータ」は、仮想空間上でロボットの動作やAIアルゴリズムをシミュレーションできるサービスで、2024年度内の製品版販売開始を目標に開発を進めています。今回リリースしたドローンの飛行シミュレーション機能に加え、今後も新たな機能を順次体験版に追加していく予定です。

予定されている機能拡張として、以下の内容を計画しています。
 
  • ドローンの飛行シミュレータ機能のアップデート
    より精密な飛行制御の追加など、シミュレーション精度を向上させます
  • 複数人での空間共有やコミュニケーション機能
    開発メンバーが同じ仮想空間内でリアルタイムに情報を共有し、チャットや音声でコミュニケーションを取りながらシミュレーションを進められるようになります
  • スマート農業向けロボットのシミュレーション機能
    収穫ロボットでの動作シミュレーション機能を体験いただけます。

これらの機能拡張については、本ブログを通じて最新情報をお届けします。今後の進展にどうぞご期待ください。