Automotive SPICE(A-SPICE) とは?
2023年01月16日
- 車載ソフトウエア開発
Automotive SPICEとは、車載向けソフトウエア開発プロセスのフレームワークを定めたプロセスモデルです。大まかにいえば「プロセス参照モデル」と「プロセス属性」が定義されています。
“SPICE” は “Software Process Improvement and Capability dEtermination” の略称です。直訳すると「ソフトウエアプロセスの改善と能力判定」という意味となります。
- プロセス参照モデル:プロセスの目的を達成するために必要なタスクや活動。
- プロセス属性:プロセスの能力を判定するための基準。
“SPICE” は “Software Process Improvement and Capability dEtermination” の略称です。直訳すると「ソフトウエアプロセスの改善と能力判定」という意味となります。
Automotive SPICEの背景
1960年代頃、エンジンへの燃料供給において、初めて自動車に電子制御技術が採用されました。以来、制御技術の向上と自動車の高機能・高性能化に伴い、電子制御化は進んでいきます。さらに近年においては、100年に一度の変革期といわれる「ADAS対応」に向け、より大規模で複雑な制御が必要になっています。この結果、ソフトウエアの品質が自動車自体の品質に与える影響は、ますます増大しています。
ADASとは
ADAS(Advanced driver-assistance systems:先進運転支援システム)とは、自動車事故防止のため、ドライバーの運転操作を支援し、安全を確保するためのシステムです。
このような背景があり、2000年代初頭、欧州の自動車メーカーを中心としたAutomotive SIG という団体が、共通のプロセスモデルを策定しようと動き出しました。この成果が、2005年に公開された“Automotive SPICE” です。
その後、何度かの改定を経て、2022年11月時点の最新バージョンは「Automotive SPICE 3.1」です。2023年には、メカやハードウエアに関わるプロセスが追加されたバージョン「Automotive SPICE 4.0」のリリースが予定されています。
その後、何度かの改定を経て、2022年11月時点の最新バージョンは「Automotive SPICE 3.1」です。2023年には、メカやハードウエアに関わるプロセスが追加されたバージョン「Automotive SPICE 4.0」のリリースが予定されています。
Automotive SPICE を適用するメリット
Automotive SPICE を適用することで、以下のメリットが得られます。
Automotive SPICE には、ソフトウエアの開発工程である要求分析から評価までの一連の工程だけでなく、構成管理のような支援プロセス、プロジェクト管理のような管理プロセス、プロセス改善なども定義されています。開発に関わるあらゆるプロセスにおいて、そのタスク・活動が定義されており、信頼性・品質の確保に大きく寄与します。
また、第三者(例. 委託企業、受託企業)との共通指標として Automotive SPICE を適用することで、要求品質に対する認識の乖離を最小限に抑えることが可能です。
続いて、Automotive SPICE に定義されている「プロセス参照モデル」、「プロセス属性」、および「プロセス能力判定」について解説します。
- ソフトウエアの信頼性・品質の確保
- 第三者に対する説明性の確保
Automotive SPICE には、ソフトウエアの開発工程である要求分析から評価までの一連の工程だけでなく、構成管理のような支援プロセス、プロジェクト管理のような管理プロセス、プロセス改善なども定義されています。開発に関わるあらゆるプロセスにおいて、そのタスク・活動が定義されており、信頼性・品質の確保に大きく寄与します。
また、第三者(例. 委託企業、受託企業)との共通指標として Automotive SPICE を適用することで、要求品質に対する認識の乖離を最小限に抑えることが可能です。
続いて、Automotive SPICE に定義されている「プロセス参照モデル」、「プロセス属性」、および「プロセス能力判定」について解説します。
プロセス参照モデル
プロセス参照モデル(PRM:Process Reference Model)とは、プロセスの目的を達成するために必要なタスクや活動が定義されたものです。
3種のプロセスカテゴリーと32種のプロセスにより構成されます。
3種のプロセスカテゴリーと32種のプロセスにより構成されます。
それぞれのプロセスには以下の内容が定義されています。
- プロセス目的
- プロセス成果
- 基本プラクティス(BP:Base Practice)
- アウトプット作業成果物
プロセス属性
プロセス属性(PA:Process Attribute)とは、プロセスの能力を判定するための基準の定義がまとめられたものです。
9種のプロセス属性により構成されます。
それぞれのプロセス属性には、プロセス能力指標として以下の内容が定義されています。
9種のプロセス属性により構成されます。
属性ID | プロセス属性 |
---|---|
PA 1.1 | プロセス実施 |
PA 2.1 | 実施管理 |
PA 2.2 | 作業成果物管理 |
PA 3.1 | プロセス定義 |
PA 3.2 | プロセス展開 |
PA 4.1 | 定量的分析 |
PA 4.2 | 定量的制御 |
PA 5.1 | プロセス革新 |
PA 5.2 | プロセス革新実装 |
それぞれのプロセス属性には、プロセス能力指標として以下の内容が定義されています。
- 共通プラクティス(GP:Generic Practice)
- 共通リソース(GR:Generic Resource)
プロセスの能力判定
プロセスごとに、プロセス属性で定義された基準により評価がおこなわれます。その評価結果に応じて、能力レベルが導かれます。
以下は、プロセス属性による評価結果から能力レベルを導くための、プロセス能力レベルモデルです。評価結果の達成率に応じて、能力レベル0 から能力レベル5 が導かれます。
機能安全・サイバーセキュリティ対策への取り組み
ADAS時代を迎えた近年の自動車開発において、ソフトウエア開発の比重は増しています。さらに、機能安全性(例:ISO26262)、サイバーセキュリティ安全性(例:ISO21434)を担保するための品質要求レベルは、日に日に増大しています。これらを実現するため、 開発プロセスのフレームワークとしてのAutomotive SPICE は、今後、ますます重要視されるでしょう。
サービスに関するご依頼、ご相談はお問合せフォームにて承ります。
当社では、機能安全・サイバーセキュリティ対策への取り組みに加え、Automotive SPICE をベースとしたプロセスを構築済みです。三栄ハイテックスの経験と実績を生かし、お客様のご要望に応じて最善のソリューションを提案します。
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車載組み込みシステムを、豊富な知見と一貫設計で開発。モデルベース開発を採り入れた最適な開発手法でご要望に応えます。
AUTOSAR CPに数多くの実績。車載向けMCAL開発サービスを、設計工程から検証工程まで一貫提供します。
機能安全規格ISO26262の適用が必要な場合は、お客様の安全管理者の下、認定技術者を中心とするチームで対応します。