イメージセンサーとSilicon-Proven ADC-IP

2026年04月27日

  • LSI設計
多様化するイメージセンサー市場において、用途に応じた最適なアナログフロントエンド設計は不可欠です。特に車載や産業機器向けなどのハイエンド分野では、ADC(アナログ・デジタル変換器)の精度が画質や信頼性に直結します。本記事では、イメージセンサーにおけるADCの役割と主要なアーキテクチャの比較を解説します。あわせて、設計期間の短縮に貢献する当社の「Silicon-Proven ADC-IP」を用いたカスタム設計サービスの強みについてお伝えします。

イメージセンサーとは?

イメージセンサーとは、光(アナログ情報)を電気信号に変換し、さらにデジタルデータへと変換することで、デジタル画像データを生成する半導体デバイスです。

中でも、CMOSイメージセンサー(CIS)は、現代社会の多様な画像認識を支える中核技術です。この分野において、世界市場では日本企業が圧倒的なシェアを占めており、今後も堅調な成長が予測されています。

三栄ハイテックスは、長年にわたりイメージセンサーのアナログフロントエンド(※)設計に取り組んできました。
※ アナログフロントエンド:センサーなどから得たアナログ情報を、デジタル側が処理できる状態に整える前処理回路

用途別に見るイメージセンサーの多様性

イメージセンサーに要求される特性は用途によって大きく異なります。

モバイル用途では電力とコストが最も重視されます。車載、産業、医療などのハイエンドな用途では、高信頼性、高速撮像、広いダイナミックレンジ、高精細といった特定の高性能が要求されます。

イメージセンサーの応用分野は多岐にわたり、それぞれで求められる技術的特性が異なります。これは、センサー単体の設計だけでなく、後段のアナログ・デジタル変換器(ADC)に求められる性能にも直結します。
分野 主な用途 要求される主な特性
民生
  • モバイル
  • デジカメ
高画質(高解像度、色再現性)、低コスト(小型化)、低消費電力。
特にモバイル用途では電力とコストが最重要視されます。
車載
  • ADAS
  • 自動運転
高信頼性(耐熱性・耐振動性)、フリッカー抑制、広いダイナミックレンジ(明暗差への対応)。
産業
  • 工場自動化
  • セキュリティー
高速撮像(フレームレート)、高耐久性、高感度(低照度環境対応)、特定の情報(偏光など)の取得。
医療
  • 内視鏡
  • 顕微鏡
高精細、小型化、低ノイズ、特定の波長(紫外線・赤外線)への感度。
モバイル用途以外の分野では、画質精度、すなわち高分解能のADCが必要とされる傾向があります。

例えば、車載カメラはトンネルの出入り口のような極端な明暗差に対応するために広いダイナミックレンジが必須です。産業用カメラは高速かつ高精細な画像処理のために高いフレームレートと精度が求められます。

このように、分野や用途に応じて最適化された技術の選択が必要となります。

イメージセンサー設計におけるADCの役割とアーキテクチャの選択

イメージセンサーにおいて、ピクセル(画素)で生成されたアナログ信号をデジタルデータに変換するADCは性能の鍵を握ります。
主要なアーキテクチャには、「カラムADC」と「直列型ADC」があります。これらのアーキテクチャは、それぞれ異なる技術的トレードオフを持っています。
また、デジタル化の方式や配置によって、センサーの性能(速度、精度、消費電力、ノイズ)が大きく左右されます。

カラムADC(Column ADC)

カラムADCは、各カラム(列)ごとにADCを配置する方式です。
特徴
  • 列の画素数分のADCにより、信号を同時に変換でき、高速撮像が可能です。
  • 特に電力効率と面積が有利なシングルスロープ方式が多用されます。
トレードオフ
  • ADCを多数並列配置するため、ADC間の性能にバラツキが生じやすいという課題があります。
  • シングルスロープ方式は電力と面積では有利ですが、高分解能化の難易度が高い傾向があります。
用途 モバイル用途(低消費電力、小型化が最優先される分野)に向いています。
カラムADC
図1 カラムADC

直列型ADC(シリアル型ADC)

直列型ADCは、画素アレイの下部にある読み出し回路の後段に一つあるいは数個のADCを用意し、順次読み出しを行う方式です。
特徴
  • ADCの数が少ないため、ADCのバラツキの影響が小さいです。
  • ADCの設置面積に大きな制約がないため、高精度な対応が可能です。
  • 用途に応じて、パイプライン、サイクリック、SAR(逐次比較型)、デルタシグマ(ΔΣ)など、高精度なADC方式を選択して使用できる点が強みです。
トレードオフ
  • 順次読み出しを行うため、カラムADCと比較して高速化は難しい場合があります。
用途
  • 高精度や高分解能が求められる産業、車載、医療分野に向いています。
直列型ADC
図2 直列型ADC
特に直列型ADCで選択される高精度ADC方式(パイプライン、SAR、ΔΣなど)の設計は、高精細かつ広いダイナミックレンジが求められるイメージセンサーにおいて、重要な技術的基盤となります。

当社の半導体アナログ設計事業は、このような高精度なADC技術を得意としています。

Silicon-Proven 自社開発ADC-IPとイメージセンサーの実績を活用したカスタム設計サービス

当社は、長年のCIS設計実績と、実チップでの動作検証を完了したSilicon-Proven ADC-IP(シリコン実証済みADC IP)を統合して、お客さまの要求に応じたカスタム設計ソリューションを提供しています。

イメージセンサー市場の多様化に伴い、要求される特性は複雑化しています。特に、モバイル以外の分野(車載、産業、医療など)では、高精度なADCが必要とされ、その設計には高い専門性が求められます。当社は、直列型ADCが得意とするパイプライン、SAR、デルタシグマといった高精度なADC方式の設計技術をコアコンピタンスとしています。

保有している Silicon-Proven ADC-IPは、実チップでの動作検証を完了しており、性能だけでなく開発期間の大幅な短縮に貢献できるという重要なメリットを提供します。

これらの技術とイメージセンサーの実績を組み合わせることで、お客さまの様々な要求に対応した独自のソリューションを提供します。

イメージセンサーのカスタム設計サービス

カスタム設計ソリューション
お客さまが求める性能(速度・精度・電力)と、市場投入までの開発期間(TAT)のバランスを踏まえ、最適なADCアーキテクチャを選定します。
さらに、Silicon-Proven ADC-IPの統合やカスタマイズまでを一貫して支援し、次世代イメージセンサー開発におけるアナログ設計の課題解決に貢献します。

自社開発 Silicon-Proven ADC-IPラインアップ

三栄ハイテックスでは、幅広い用途に対応する豊富なADC IPを取りそろえております。
実チップで検証済みのSilicon-Proven IPにより、設計リスクの低減と開発期間の短縮を実現します。
要素名 内容・性能(設計値) 特徴
Pipelined ADC
(PLADC)
パイプラインADC
16bit 50MSps
SNR=80dB, 184mW / 3.3V
  • 高速+高精度
  • デジタル補正
  • Refバッファ内蔵
Cyclic ADC
(CYADC)
サイクリックADC
16bit 8.5MSps
SNR=81dB, 57mW / 3.3V
  • 高速+高精度
  • デジタル補正
  • Refバッファ内蔵
SARADC SAR-ADC
12bit 10MSps
SNR=69dB, 1.7mW / 1.8V
  • 高速+低電力+小面積
  • 100kSps~10MSps可変
  • Refバッファ内蔵
OS-SAR ADC
(SAROS)
OverSampling-SARADC
16bit 125kSps
SNR>84dB, 1.3mW / 1.8V
  • 高精度+低電力+小面積
  • 個体トリミング不要
  • Refバッファ内蔵
2026年4月時点の情報です。
最新情報は以下のリンクよりご確認ください。

アナログIP カスタマイズ/ポーティングサービス

アナログIPをベースに、お客さまのニーズに応じたカスタマイズや、指定ファウンドリへのポーティングに対応しています。
新規にアナログ回路を開発する場合と比べ、開発コストを抑えつつ、短期間で最適なIPソリューションを提供します。
用途に応じて、フルカスタム設計やプロセスポーティングをご提案しています。
さまざまなプロセスに対応した柔軟なIP展開により、開発期間の短縮とスムーズな製品化を支援します。
詳細については、お気軽にお問い合わせください。